陰陽師・安倍晴明ゆかりの「五方山熊野神社」(葛飾区)へ

都内で唯一、陰陽師・安倍晴明公が勧請したといわれる「五方山熊野神社(東京都葛飾区)」に参拝。一千年の歴史を持つこの神社の境内敷地は、陰陽五行説にならった五角形をしており、陰陽道の結界により守られてきたといいます。安倍晴明公ゆかりの神社としては関東唯一、また、葛飾区内で最も古い神社とされています。

創建は平安時代中期の長保年間(999~1003)とされ、陰陽師・安部清明公によって熊野大神が勧請。境内は陰陽五行説に基づき三十間(54.54m)五角とされ、神代の石剣が御神体として祀られているのだそうです。

これらの云われに好奇心をくすぐられ参拝することに。最寄の青砥駅から徒歩にして約10分ほどの中川沿いに広がる住宅街の中に鎮座しています。(ちなみに下の画像は立石駅側からのもの)五方山熊野神社(東京都葛飾区)五方山熊野神社(東京都葛飾区)
両脇の大楠に守られるかのようにたたずむ拝殿。大楠の樹齢は300年以上で葛飾区の天然記念物として登録されています。五方山熊野神社(東京都葛飾区)の拝殿
ご祭神は、伊邪那岐大神(縁結び・家内安全)、速玉男大神、事解雄大神(厄除け・病気治癒)。

一帯にはかつて古墳群が存在し、近所の立石児童遊園には「立石」の地名の由来ともされる霊石の「立石様」(東京都指定史跡)があります。立石は、古墳時代に房総・鋸山付近から古墳の石室等を作るために運ばれてきた石材で、古代、周辺は栄えていたと考えられているそうです。また、神社のご神体は二尺四寸(約70㎝)の「神代の石剣」で、古くから信仰の対象とされてきたのだとか。

その他、境内社として水神社、天満宮、稲荷神社、富士塚の上には浅間神社が鎮座しています。富士山好きに外せませんね。銅造りとしては日本一といわれる五重塔もあり、敬神家の祖霊がお祀りされています。
五方山熊野神社(東京都葛飾区)の富士塚と浅間社
五方山熊野神社(東京都葛飾区)の五重塔
また境内にはポニーも!? 神社附属の幼稚園が併設され、飼育されています。
五方山熊野神社(東京都葛飾区)のポニー
それにしても、公式HPのご由緒書きには「たまたま当地に立ち寄り、この地に選定した」とありましたが、なぜこの地に勧請されたのかが謎?でした。周囲の遺跡等から古代は栄えていたことが窺えましたが、安倍晴明公の年代とは開きがあります。そこで鍵になるのが「古代東海道」だったんですね。

「古代東海道」とは奈良・平安時代から存在し、平城京・平安京から常陸国や陸奥国へと至る古代の国道のこと。この立石の地は古代東海道が通る地で「立石様」は道標ともなっていたのだそうです。官道が通る古くから栄えた場所でもあり、この地に勧請された納得の理由があったのですね。

ちなみに、五方山熊野神社ならではの祭祀や御守等があるのも面白いところ。
まず、「新月・満月夜詣り」で新月の夜、満月の夜に特別祈祷(初穂料要)が行われています。月の暦に合わせて執り行われる祭祀は、現在では全国的にも珍しいのでは!? 陰陽師ゆかりの神社らしいですね。そもそも旧暦(太陰太陽暦)では新月・満月の日にお参りするのが良いとされていたので、また後日に新月・満月夜詣りをしてみたいと思いました。

また授与品も魅力的! 陰陽五行説の五角形と八咫烏の御神紋をかたどった御守など種類も豊富で、特に八咫烏に思い入れのある私は迷わず「五角守」と「金烏守」を受けました。その他、新月・満月の日限定や月替わりの御朱印もあり、集めている人は気になるのでは!?(詳しくは公式HPをご覧下さい)

こちらには初めて参拝しましたが、五方山熊野神社ならではの特色があり、また訪れたいと思う神社でした。