新型コロナで父を失う‐(2)

新型コロナで父を失う‐(1)」の続きです。(2)では父が新型コロナで亡くなった後のことについての記録ですが、辛いことや憤りを感じたことなど様々なことがありました。

臨終後、死に水は取れず・・

(1)でも触れましたが、心停止後の父と特別に面会が許可されたことはせめてもの救いでした。防護服を来て病室に入室すると、既に父の手は冷たくなっており、別れを告げた後に死亡宣告となりました。最期に伝えたいことも伝えられず、しかも、防護服越しで直接触れることも抱きしめてあげることもできなかったのがとても辛かったです。

そして、死に水も取ることなく病室を出ると、すぐに遺体の搬送先を探さねばなりませんでした。そこで新型コロナならではの悲しい現実を知ることになりました。

コロナ対応の葬儀社?

まず、新型コロナで亡くなった場合、遺体は感染予防のため納体袋に入れられた上に棺も密閉され、火葬場へ直送となるのが大まかな流れです。

火葬までは葬儀社などの霊安室に入ることになりますが、そこでもコロナの受け入れをしているところとそうでない場所があるようです。また、火葬場についても同様で受け入れている所でもコロナ対応の時間帯が決められたりしているため、希望の日時が空いているとは限りません。

遺体になってからもコロナ対応の消毒が求められ、霊安室で棺を開けての面会は遺体が納体袋に入れられているにもかかわらず防護服を着なければなりませんでしたし、まるで危険物かのような扱いでした。

葬儀社によってはコロナの受入れをしている所とそうでないところがあり、最初に電話をした所ではコロナ対応していないとのことで断られ、結局病院が紹介してくれた葬儀社にお願いすることになりました。しかし、これが大きな間違いでした。

葬儀社は事前に調べておいた方が良い

病院から紹介された葬儀社だったので疑うことなくお願いすることにしましたが、結論から言えば葬儀社は事前に調べて選ばなければダメです。

まず、私たち家族が葬儀社から受けた説明は、コロナで亡くなると葬儀は開けず火葬場へ直送。火葬日まで霊安室に遺体を安置しますが、棺を開けての面会は1度のみで防護服を着用。その時に副葬品等を入れお別れとなる。(棺を開けずの面会は安置中は可能)

出棺時の見送りは不可、火葬場での立会も骨を拾うこともできず、自宅に遺骨を届けるということでした。

不審に思う点もあった為、出棺前の面会後に葬祭場から少し離れた位置で様子を窺うと、葬祭場前の喫煙所にスパスパと煙草を吸う(ヤンキー吸い)金髪の僧侶(男)?が現れたこと(うちは神道)や、面会に訪れた際に何度か目にした霊柩車が来た様子はなかったので(高い霊柩車代も請求されている)もしかしたら見送られては困る理由があったのかもしれません。

とにかく、コロナ対応の火葬のみの直葬でしたが、後日、他の複数の葬儀社から聞いた話ではコロナ対応・相場の倍の金額を取られていたこと、さらには場所を選べば火葬の立会いも骨も拾えたとのことでした。

後味が最悪でしたので遺骨が帰ってきてから改めて神葬式をしましたが、そこでは良心的な葬儀社と出会えたのが救いでした。

親の葬儀費を値切りたくないという心理を利用し、病院の紹介であっても悪質な業者がいるということは伝えておきたいことです。

後日分かったことですが、むしろ病院紹介の葬儀社の方が割高になり、使わない方が良いとする記事や意見が多いですね。また、中には病院や病院スタッフと癒着しているケースがあるようで、とにかく事前に調べておくことで私達のような不快な思いや不要な出費をしなくて済むでしょう。そして、何よりも故人に申し訳ない思いをせずに済みます。

反省点など

新型コロナに関していえば入院中に制限があることは知っていましたが、亡くなった後も様々な制限があるのはあまり知りませんでした。とにかく、発症してから火葬までの反省点や悔やんでいる点は以下の通りです。

    • 高齢/基礎疾患があるなら本人が拒んでも入院させておけば良かったのではと悔やんでいます。それにより治療の選択肢は増えていたはず。
    • 入院中のコミュニケーション方法の検討。
    • 葬儀社の事前調査(コロナ対応をしているかも含め)。
    • 現状は面会制限があるので、遺族とすれば傍にいることもできず独りで逝かせてしまったことを悔やむ気持ちは消えることはありません
    • その他:
      • 普段のかかりつけ医は一般診療と発熱外来の導線/あるいは時間帯を分けているか?

最後に

2022年11月初旬現在、世間ではもうコロナ禍が終わったかのような扱いで、中にはまるで日本が遅れているという意見までありますが、別にコロナ禍が終わった訳ではなく、海外も日本も経済を回すため健康弱者の切り捨てにシフトしたというだけのことだと私は思っています。

年代に関わらず基礎疾患を持っている人や高齢者等にとっては命に関わる問題であり、そういう人達が自分のすぐ傍にいるかもしれないということは忘れず、他のコロナ遺族や私達のように「新型コロナであったが故」に辛く悲しい思いをする人が少しでも減ってほしいと切実に願っています。